トルコリラは続落中!問題は山積みで今後も弱そう
トルコリラが下落しています。
コロナウイルスを始め、トルコリラが下がりそうな要素は満載です。
スワップ生活はまだまだ夢のまた夢なのでしょうか。
目次
トルコリラの直近の値動き
トルコリラ円
2019年秋のトルコショック時の安値を更新しました。
コロナが今広まり始めた日本の信用度が今後どうなるかは不明ですが、少なくともまだリスク回避の円高は健在のようです。
後述しますが、原油価格が暴落した「逆オイルショック」から、サウジアラビアがOPECプラスの緊急会合を呼びかけ株価は落ち着きを見せそうになりました。
しかしトルコにとっては「世界経済の安定化」よりも「原油輸入価格の増大懸念」が上回ったようで、リラは一時値を落ち着けたものの再度下落し始めました。
(チャートはsaxobank)
ユーロトルコリラ
ユーロトルコリラは過去の最高値にはまだ及ばないものの、じりじりと上げていっています。
まだバイクラとまではいかなさそうです。
(チャートはsaxobank)
下記のツイートでは7.5が目安としていたのですが、手前で打ち返されたので上のチャートでは参照する最安値を変えました(市場最高値後の安値を使っています。下記ツイートでは最高値前の安値を使用していました)。
史上最高値とその前後からの最安値を結んだフィボナッチだと次の節目は7.5あたり、いまの位置っていかにも中途半端 pic.twitter.com/rK97sAF75l
— からんころん@投資 (@cc_workinv) 2020年3月30日
そうするとちょうど61.8%戻しで打ち返されたような状況です(後付け的ですが)。
それではこれで終わりかというとそうではなく、RSIが落ち着いてきたのでまたこの後上げるのではないかと見ています。
ドルトルコリラ
ドル需要が増大して以来、ほとんど休みなく上げ続けています。
ドル需要が一段落して反発したポンドなどと異なり、トルコリラはドルに対して弱いままです。
チャート上はやや過熱感が出ていますが、ボリンジャーバンドは広がりを見せており、このまま7.0を目指す展開のように見えます。
(チャートはsaxobank)
コロナウイルスの感染状況
下記は人口100万人当たりの感染者数推移で、片対数グラフ(小さい数が強調されて見えます)です。
このグラフではまだイタリアでの感染者数が増えていることになっているので、最近ツイッターで流れている話とやや違って見えますが。
トルコは上から2番目の緑です。直近では一番伸びているのではないかというような状況です。
(チャートは札幌医科大学医学部)
そのような中、トルコの対応は後手になっているようです。
イスタンブールでの感染者が急速に増えているようですが、ロックダウンはなさそうで、エルドアン大統領はようやく「マスク」しろと言い始めたくらいです。
政府(というか大統領)と地方自治体との溝が深まっているように思われ、足並みを揃えて対応できるか怪しいです。
トルコのGDPは、猛烈に成長していた観光業が牽引していた(TRAVEL JOURNAL)のですが、コロナウイルスの蔓延により成長のエンジンに大きなブレーキがかかる可能性があります。
世界中で人の動きが止まり観光客が激減しているため、長期化するとトルコ経済は大きくダメージを受けることになりそうです。
逆オイルショックの影響
原油は3月6日に急落しました。
(チャートはiFOREX)
一方でドルトルコリラは3月6日以降も上げ続けています(リラが下がっている)。
(チャートはsaxobank)
原油が下がれば世界経済停滞懸念にあわせてトルコリラが弱くなり、
原油が上がれば原油輸入国のトルコリラが弱くなり、
何をやってもやられてしまうんですね。。。
下記にも書きましたが、原油はいったん底を打つでしょうから、トルコ固有の事象としてリラの上値を抑えることになりそうです。
リセッションの影響
コロナウイルスと原油急落の影響で、世界経済はリセッションに入ったと見ておいたほうが安全だと思います。
リーマン・ショックの時もそうでしたが、リセッションでは新興国から資金が引き揚げられ通貨も弱くなります。
当時もトルコリラ、南アランド、ブラジルレアル、インドネシアルピアなど新興国通貨は弱含みました。
トルコリラはそれらの国に比べると今回比較的耐えている感じがしますが、トルコ中銀のリラ買いがあるのではないかと思います。
トルコリラは売り!とはいえ上がる可能性も・・・?
中銀の買支え
トルコ中銀のリラ買いが続いていますが、その甲斐虚しくリラは下げ続けています。外貨準備高が元々多くないトルコなのでいつまでも続けることはできないはずです。
このような、国が頑張って買い支えるというのは必ず負けると思っているので、どこかでセリクラが来るのではないかと思います。
スイスが自国通貨高を防ぐために介入を続けていましたが、結果的には市場に負けてしまいました(ユーロ/スイスフランが急落)。
コロナウイルスの収束
コロナウイルスが一段落すればリラも落ち着くと思いますが、おそらく先にコロナが落ち着くのは欧米だと思います。そうするとその温度差でリラはまた下げるのではないかと思います。
その後にトルコが収束すればリラが下げた分くらいは戻していきそうですが、、いつになるでしょう。
政策金利
エルドアン大統領はずっと金利を引き下げるように主張していたので、可能性は低いですが、政策金利を上げるようなことがあればリラは大きく上げると思います。
インフレ率に対して政策金利が低いので、実質的にはマイナス金利となっているため、どこかでインフレ対応は必要になってくるはずで、エルドアン大統領が折れるときがくるのでは(というか来て欲しい)と思っています。
可能性は低いですが、突然の利上げが万が一あれば持っているトルコリラのショートポジションは全てクローズしようと思います。
最後に
世界経済の減速時にはトルコをはじめとした新興国経済はしわ寄せを受けやすく、その分リラは弱くなりやすい環境です。
その状況で、コロナウイルスの蔓延、原油上昇、中銀の玉切れ可能性、と問題山積みであり、価格が安いからといって安易に買うのは非常に危険だと思います。
どうしても買うのだとすればロットを小さく、長期的に買い下がる覚悟で行く必要があると思います。